飲食パート勤務者が語る現場の過酷さと理不尽|記録と声が持つ力

サービス業

20代の6年間、1日パートタイムで働いた「ゆい」さん(仮名・関東)が語るのは、決して笑って済ませられない日常です。
月収は一定額をキープするためシフトを調整し、朝の開店準備から閉店後の片付けまで、小さな体で奮闘していました。


🍳 体感“40℃超え”の厨房環境:暑さとの戦い

「夏場の調理場は地獄でした。火を使うキッチンにエアコンはほとんど効かず、体感で40℃近く。手が震えたり痺れたり、倒れそうになる同僚もたくさんいました。」

それでも店長は涼しい事務所にエアコンをつけっぱなし。パートだけが苦しむ状況。
「スポットクーラーを冷蔵庫に当てて、『冷蔵庫が大事だから』と平然と言われました。田舎の夏と言っても限度がある……!」

この異常な暑さの中で誰もが「体壊すんじゃないか」と感じながら、調理・片付け・清掃を続けていたのです。


📱 LINEでも飛び交うモラハラ・パワハラ発言

職場の連絡はグループLINEと電話が中心。
「◯◯さん(仮名)は性格きついから新人教育させるなよ」「そんなに体調崩すのは甘え」など、陰口や攻撃的なコメントが飛び交っていました。
さらに電話では「出勤するまで切りませんよ」と迫られた事例も。

「ある日、これで辞めようと思った瞬間がありました。逃げ場がないってこういうことかと……」


😱 消費期限“改ざん”の闇:信頼崩壊のサイン

「提供品の消費期限が、私たちが貼った後に書き換えられていたんです。明らかに改ざん。パート仲間全員が知っていました。」

飲食店の信頼に関わる重大な問題が、店側の都合で行われていたのです。


📝 記録→報告へ:小さな反撃のはじまり

「私1人じゃ無理でも、記録を残して報告しよう」と行動。
「休憩でもないのにタバコ休憩がある」「着替えタイミングでのタイムカード操作」など、不公平すぎるルールも逐一メモへ。

問題を責任者経由でエリアマネージャーに報告し、面談後、店長は“厳重注意”になりました。ただし、その後の変化は限定的だったとのこと。


👎 理不尽の根っこ:効率よりコスト削減

少人数で店舗を回す構造が、常に“人件費抑制>安全・品質・人権”を優先させる構造を生みました。
クレーム対応に追われて、スタッフは気力体力ともに限界点へ。


🤝 仲間と共に立ち上がる:声の連携力

「1人じゃ言えなかった。でもパート仲間と『おかしい』って話して共有できた。それが自分たちの底力になりました。」

いつの間にか、愚痴ではなく問題提起へ。その連帯感が、数人で声を上げる勇気につながったのです。


🔄 離職とあとに残る波紋

在籍中だけでも、社員は5名以上入れ替わり、パート・アルバイトも次々と辞めていきました。
「辞める」と伝えた途端、店長の態度が豹変し精神的圧力をかけられた人も。

ゆいさん自身もついに限界を迎え、退職を決意。その後、新たな生活を始めています。


💡 考察①:パート労働者の“透明な境界線”

今回の体験は、パートとして働く人の無責任な扱いと法律のグレーゾーンを浮き彫りにしています。
同じ職場で同じ仕事をしていても、正社員の待遇と比べられることもなく、責任だけ押しつけられる現状。これは紛れもなく構造的な問題です。


💡 考察②:ブラック体質の飲食業、その構造的要因

飲食業界は“体育会系・メンタル強靭な人向け”といいながら、根本的な人手不足とコスト削減に依存した経営スタイルが改善されません。
本来の火傷リスク管理、安全衛生への配慮、適正な休憩ルールなど、法律の最低基準すら守られていない現場も少なくありません。


💡 考察③:自衛の記録と声を上げる力

ゆいさんは、自分と仲間を守るために、小さなノートに記録を取り、報告のプロセスを踏んだ。それは「訴え」ではなく「記録」です。

小さい声でも記録は社会を変える一歩になります。同じような目にあったとき、記録を始めてほしいと強く願います。


✍️ 安全と尊厳を取り戻すには?

  • 労働条件の可視化とその監視体制の強化
  • 正規・非正規を問わない均等な待遇の確保
  • パート含む全従業員向けのパワハラ相談窓口や第三者通報制度
  • 業務の対価と安全基準への法的担保

これらは決して過剰な要求ではありません。
社会が「食」を支えるための責任から、飲食業界に改善を求める最小限の要件です。


ゆいさんがくれたメッセージ

「飲食店は基本ブラック。メンタル強いか体育会系の人じゃないと続かない」。
この現場の声は、単なる嘆きではありません。
それは、見過ごされてきた“弱者の声”が伝える、社会への警鐘です。

飲食店の裏側にある熱と、冷えた経営判断の狭間で、多くの人が消耗しています。
記録し、声を上げ、変化の一歩へとつなげていかなければなりません。


✨ 最後に

声を上げづらい現場で、仲間と共に声を出したこと。
記録したこと。
それらが、誰かの未来を守る力になるかもしれません。

他の事件や考察も公開中。
note・ブログ・動画の更新一覧はこちらからどうぞ。

https://lit.link/kuro_witness

コメント

タイトルとURLをコピーしました