
この記事では、訪問販売型の不動産営業を経験した20代男性・Sさんが語る、現場のリアルと心の葛藤について紹介します。
仕事内容:訪問営業とインセンティブの現実
訪問販売スタイルの実態
Sさんが働いていたのは、地域の住宅街を一軒一軒訪ね歩く訪問営業スタイルの不動産会社でした。勤務時間は平日13時~20時、週末は10時~20時。月曜は朝9時からの会議があり、火・水曜が休みという変則スケジュールでした。

月給は30万円の固定残業制で、インセンティブ制度もありました。
「やる気があれば稼げる」仕組みではあったものの、Sさんにとっては過酷な環境でもありました。
日常的な“断られ続ける”苦痛
インターホン越しに話しかけるスタイルゆえ、詐欺と誤解されることも多く、怒鳴られたり無視されたりすることも日常茶飯事だったといいます。
「分かってはいても、毎日繰り返されると、人間だから傷つきますよ」とSさん。
不信感を和らげようと、出身地や経歴を自己開示する努力を続けましたが、相手の気分や先入観により門前払いされることも少なくなかったそうです。
退職の理由:精神的負担と価値観の乖離
営業スタイルの違いと自己矛盾
前職の自動車販売と比較し、「営業スタイルが合わなかった」と語るSさん。
「残価設定ローンで簡単に買い替えさせる風潮が強く、顧客を“金”と見てしまう文化に疑問を感じた」といいます。
高インセンティブと“自由時間ゼロ”の代償
トップ営業は月500万円以上の報酬を得ていた一方で、休日返上が前提。休日出勤の手当も出ない中、「稼ぐには自分の時間すべてを差し出す必要があった」とSさん。
「必要としていない人にも売らなきゃいけないことが苦痛だった」と語り、営業としての“正しさ”と“ノルマ”の狭間で苦しんだと振り返ります。
心身の限界と「軽い鬱」状態
成果を出しても、使わされて残らない。精神的にも限界を感じ、「軽い鬱のような状態」になったそうです。同期も皆、同じような状況だったとのこと。
現在の働き方:反響営業への転向
顧客からの問い合わせを受けるスタイル
現在は反響営業(問い合わせ型営業)に携わるSさん。チラシやネット広告経由での問合せに対応する形式で、「必要としてくれる前提があると仕事もしやすく、自分も前向きになれる」と話します。
評価基準の曖昧さからの脱却
訪問営業時代は、どれだけ頑張っても「どこまで頑張れば評価されるか」が見えず、自分の存在意義すら見失いかけたといいます。今は自然なコミュニケーションが可能な環境に救われていると語っています。
まとめ
- 訪問営業は断られることが前提の過酷な職場
- 営業としての価値観とノルマとのギャップがストレスに
- 反響営業への転向で自分の働き方を見直した
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